« 2007年9月 | トップページ | 2008年2月 »

2008年1月

六番穴十二郎

 目の前に、一人のアリがいました。大きな荷車を牽いて、よたよたと歩いているアリです。その荷車はあまりにも大きくて、とても一人のアリが牽いてきたものとは思えませんでした。
 アリはうろうろとさまよいながら、それでも確かに、ある方向へと向かっているようでした。わたしは、ほんの悪戯な心から、アリの行く先を石で塞ぎました。アリは最初、頭の触覚で小石の壁に触れて、隙間や抜け道を探していましたが、その壁を超えるには大きく迂回するしかないと悟ると、たちまち怒り出しました。
「こいつをどけてくれ、このでくの坊」
 アリは叫びました。
 その手足や腰のくびれは、まるで髪の毛のように細いのに、その声はやけに力強く響きました。
「こいつとは、この小石のことですか?」
 わたしはとぼけていいました。
「そいつが小石かどうかは知らないさ。おれはそいつが、人間でいえばなんなのかには、まるで興味がない。だがそいつは、アリでいえばたいした岸壁で、断崖で、とんだ邪魔者なんだ」
 アリは小さな手足を振り回して叫びました。
 わたしは石をどけてやりました。
「さあどうぞお通りください。でも、ここらでひとつ休憩はいかがですか。長旅でお疲れでしょう。少しおしゃべりでも楽しんでは?」
 わたしはいいました。
「おしゃべりだと? こっちは急いでいるのだが、まあいいだろう。その人間でいえば小石とやらを避けてくれたお礼に、少しくらいならな」
 アリはいいました。 
「では、お名前を教えてください。わたしは人間でいえば一郎というものです。あなたはアリでいえばなんとおっしゃるのですか」
 わたしはいいました。
「人間でいえば一郎さんとやら、どうもお初にお目にかかる。おれはアリでいえば六番穴十二郎というのさ」
 アリはいいました。
「ところで、アリでいえば六番穴十二郎さんは、なにか御用事の途中でしたか」
 わたしは尋ねました。
「もちろん、おれはいつだって用事の途中さ。今もこうして、城に食料を運んでいるところなのだからね。とても大事な役目だ」
 そういって、六番穴十二郎は、後ろに牽いていた大きな荷車を指し示しました。
「すごい荷物ですね。お城は近いのですか」
 わたしは尋ねました。
「近くはないさ。だけれども、これから夜通し牽いていけば、朝日が昇る前にはつくだろうね」
 六番穴十二郎はすまして答えました。
「夜通しですか」
 わたしは驚きました。
「城では荷車を待っているのだから、届けないわけにはいかない。この荷が届かないようなことがあれば、たくさんの子どもたちが食べることができずに衰弱してしまうに違いないのだからな」
 六番穴十二郎はいいました。
「そんなにもお城は飢えているのですか?」
 わたしは尋ねました。
「そんなことはない。城にはたっぷりの蓄えがある。この荷車が少しくらい遅れても、そうそう大事に至るまい」
 六番穴十二郎は胸を張りました。
「それなのに、夜通し荷車を牽いていくのですか」
 わたしは尋ねました。
「そうさ」
 六番穴十二郎はいいました。
「でも、まだお昼になったばかりではないですか。急ぎでないのなら、今日は夕方まで荷車を牽いて、夜は休まれてはいかがですか。また明日に車を牽けばいいのです。あまり無理をなさると、体に障りますよ」
 わたしはいいました。六番穴十二郎の体はとても小さくて、その荷車を引き続けるのは大変な重労働に思えました。
「明日と簡単にいうがね、それはひどく軽はずみな発言じゃないかね。もちろん、アリでいえばだがね」
 わたしの気遣いに、六番穴十二郎は気を悪くしたようでした。
「なぜ、あんたは、“今日の死”という、とりかえしのつかないことを、なんでもない当たり前のことのように考えるのだい。また今日も見送らなければいけないのだよ。生まれては旅立っていく“今日の死”を。巡り巡って、回り回る、この世界のすべての生き物が、今朝生まれたばかりの“今日の死”を、また見送らなければいけないというのに」
 六番穴十二郎はいいました。
「“今日の死”はいい言葉ですけども、少しばかし感傷的すぎやしませんか。もちろん、人間でいえばですが。それにそのことと、あなたが今夜ゆっくりと休むことができないこととの関係が、わたしにはまるで分からないのです」
 わたしはいいました。
 すると六番穴十二郎は、いかにもあきれたといわんばかりに、大きなため息をつきました。
「“今日の死”が、毎日毎日訪れることの意味を、あんたも考えてみるといい」
 六番穴十二郎はいいました。
 わたしは首をひねりました。
「待ってくださいよ。ふむ、これはちょっと真剣に考えてみたのですがね、やはりあなたのおっしゃる意味がわからないのです。つまり、人間でいえばですが、毎日毎日訪れる“今日の死”は、毎日毎日訪れる“今日の誕生”へと繋がるのではないですか。それを明日、未来、希望の日の出といってもいい。夜の後には朝があるのです。つまり今日、あなたがここで休憩をして、“今日の死”を迎えたとしても、さほど不都合はないということです」
 わたしはいいました。
 これは、とても素晴らしい説得のはずでしたが、六番穴十二郎はひどくがっかりした様子でした。
「あんたは、なんとも気楽な生き物だ。もちろん、アリでいえばだがね。人間でいえば、毎日毎日訪れる“今日の死”は、いつかくるおれたちの死への小さな練習だとは思わないのかい? それとももしかすると、人間でいえば、死はあんたにだけは訪れないものなのかね」
 六番穴十二郎はいいました。
「もちろん、わたしも死にますよ。人間でいうまでもなく」
 わたしはいいました。
「それなのに、死を恐れていないとは驚きだ。アリでいえばだが、おれは死を恐れている。恐れるということは、つまりは予測するということなのだ。死が少しずつ迫る足音を聞くということなのだ。だから、明日をむやみに期待などしない。今、荷車を牽かなければ、明日にはもう牽くことができないかもしれないのだ」
 六番穴十二郎はいいました。
「なんとも疲れる生き方ですよ、それは。人間でいえば、ですけどね」
 わたしはいいました。
 すると、六番穴十二郎は笑いました。
「楽をしたいのなら、生まれてこなければ良かったろうに。だいたい、生き物の命というものは、どれも等しく大切なものではないのかね? このことは、アリでいえばもちろんそうなのだが、もしかすると、人間でいえば違うのかな?」
「命は、どれも等しく尊いものです。はっきりと分かるわけではないですが、人間でいっても、そうだと思います。恐らく、理想としては」
 わたしはいいました。
「なのに不思議じゃないか。おれの体はこんなに小さいのに、あんたの体はそんなにも大きい。同じ価値の命の入れ物としては、人間の体は、少々無駄が多すぎるのではないかね。だから、だと思うがね。あんたが、そんなにも呑気でいられるのは」
 六番穴十二郎はいいました。
 わたしは自分と六番穴十二郎の体を見比べてみました。そうすると、確かに自分のこの大きさは、同じ命の入れ物としては、少し遠慮が足りないような気がしてきました。
「まあ、アリでいえばそういうことになる、ということにすぎないのだから、あんたが気にすることはない。楽しいおしゃべりだったよ」
 六番穴十二郎はそういうと、再び荷車を牽き始めました。
 大きな荷車は最初ビクともしませんでしたが、六番穴十二郎がその全身からありったけの力を絞りだすと、やがてゆっくりと動き出しました。
 わたしは、荷車が次第に遠ざかるのを見つめていました。六番穴十二郎の体は小さくて、ほとんど見えないようでした。それでもじっと見つめていると、まるで六番穴十二郎の命が裸で、その荷車を牽いているようでした。それはあまりにも儚げで、なのに激しくパチパチパチパチと、火花の音を立てているようでした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

雪星聖夜様作「からっぽな空」感想

タイトル:からっぽな空
作品リンク:http://www.realintegrity.net/~yukibosi/novel/sora.html
作者:雪星聖夜
サイト:白銀の聖夜
サイトリンク:http://www.realintegrity.net/~yukibosi/index.html

 原稿用紙10枚ほどの短編。
 雰囲気のある描写がちりばめられていて、ぐっと迫ってこようとする気迫はあるのだけれども、なぜだか少し遠い感じ。二人の関係の上辺だけをなぞっている気になるのだ。とはいえその原因を明確に言語化することは困難である。背景が見えそうで見えないこと。状況以上のものが描ききれていないこと。あえていえば、そういうことなのだろうか。
 大人なムードの作品を書かれる作者様をあまり知らないだけに、この作者様が他にどのような作品を書かれているのか興味深い。

お気に入り度:★★☆☆☆(2/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

流雲もこ雪作「手紙」感想

タイトル:手紙
作品リンク:http://nanantunokonizinoko.web.fc2.com/tegami.html
作者:流雲もこ雪
サイト:七つのこ虹のこ
サイトリンク:http://nanantunokonizinoko.web.fc2.com/

 原稿用紙12枚の短編。
 とても楽しく拝読した。
 ある作品を好きになるときというのは、なぜだかとても単純なもので、たったひとつのフレーズに心をしっかりと掴まれることがある。本作では、「真実はどこだろう。本かな」という独白を読んだ瞬間に、間違いのない好感を抱いた。その短い中に、思考の気ままさがうまく表現されていて、この語り手の一見奇異な行動に、確かなリズムを与えているよう。あくまで明るく、ユーモアのある筆致も好みである。
 気に入った作品であったので、欲張って注文をつけてみるが、語り手の思考がところどころで賢く語りすぎているように思えた。例えば、「日々繰り返す日常を、どこか違った風に変えたい」と気づくあたりなどは、少々説明が丁寧すぎはしないだろうか。このことは、他の描写によって十分に感じさせることができるはず。この作品の全体の基調は、奥底になにがあるかは別として、もっと軽く気ままであって欲しいのだ。描かれた軽いものと描かれない重いもの。その対比が明確になればなるほど、本作の印象は深いものになるだろう。
 
お気に入り度:★★★★☆(4/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

梅原様作「こんにちは、世界」感想

タイトル:こんにちは、世界
作品リンク:http://www5.pf-x.net/~gd-street/novels/08.html
作者:梅原タロ
サイト:GREEN DOLPHIN STREET
サイトリンク:http://www5.pf-x.net/~gd-street/index.html

 短編。梅原様の作品は2度目。
 リズム感が好きだ。
 恐らくは、推敲を重ねられた作品ではない。もっとも、そんなことは作品の出来とは関係のない問題で、一瞬のひらめきが湧き出る音楽のように生み出した作品には、独自の瑞々しさがある。
 畳のささくれから、次第に目線をあげてくのも好み。まあ、それ自体は珍しい着眼点ではないが、行きつ戻りつする様子にユーモアがあっていい。ただ、少々狙いすぎと感じるのは、読み方が不純なのか。
 カーテンを開けようは、個人的にニヤリとした。

お気に入り度:★★★★☆(4/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カーテンを開けろ。

  気がつくとわたしは、
  今日も空の遠くを見つめている。
  そうしているとなぜか、
  空の遠くの方でもわたしを見つめてくれているよう。

 こんなことを書いている自分がおかしくて、ふと我に返る。ロマンチストを気取りすぎだし、なにせ今日はカーテンすらも開けていない。見栄を張るならピンと張れ。これではまるで、ひとりよがりな男の、自惚れか勘違いといったところだ。

 いやいやそもそも、そんな心配ばかりをしていることが情けない。その向こうに、なんとも欲の皮のつっぱった男の姿が透けて見えるだろう? いい加減に目を覚まして、自分だけが特別なのだと信じ込むのをあきらめたらいいようなものなのに。

 だいたい、そうと分かっているのなら、このことをだれにいう必要もないだろうって、もちろんそのとおりなのだけれども、そうかといってこのことを、自分にまでも秘密めかしているのも、なんだか落ち着かない気がするのだ。

 行き場をなくして右往左往。まあ、いつだって、ひとりにやにやちゃっかりと、そんなふうにして生きてきた。いまさら無理に、格好などつける必要はないのだし、どう転んでも、格好などつかないのだ。

 さあ、まずはカーテンを開けろ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

唐沢巽様作「いつか臨む八月の青」感想

タイトル:いつか臨む八月の青
作品リンク:http://www.h2.dion.ne.jp/~singing/tr6.html
作者:唐沢巽
サイト:Sing of Garden
サイトリンク:http://www.h2.dion.ne.jp/~singing/index.html

 短編の恋愛小説。
 非常に面白く読めた。恋心を胸に秘めたなんとも微妙な関係が透き通るように描写されている。登場人物は男女2名。場面は放課後の教室の1か所だけ。単純な構成だが、物語に自然な動きがあって飽きさせない。恋愛ものとしては予定調和な感覚もあるが、思春期の恋の不安定さが上手くアクセントになっている。見事な出来だと感心。ただ、欲をいえば、少々優等生過ぎる感もあって、類似した無数の作品群から頭を突き出しきれていないようにも思える。
 グランドの土の匂いが懐かしくなった。

お気に入り度:★★★★☆(4/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

斗織様作「魔女は子供の魂がお好き」感想

タイトル:魔女は子供の魂がお好き
作品リンク:http://www.geocities.jp/conceal_6/novel/s_12.html
作者:斗織
サイト:ジフェニル
サイトリンク:http://www.geocities.jp/conceal_6/diphenyl.html

 斗織様の作品に感想を書くのは三度目である。
 最後に大きな文字でタイトルが出てくるのは、安直な仕掛けとは思いつつ、意外とインパクトがあって楽しかった。純粋な小説作品としては許容しがたい手法なのかもしれないが、楽しければ割合なんでも許せるほうなので、これもまた可、なのである。
 王道ながら、テンポのいい展開は最後まで興味を惹きつけてくれた。ただ、オチに至る因果がうまく理解できない。なぜ小鳥が死ぬこととケイトの死ぬことに関連があるのだろう。一方で、なぜケイトの犬は死んだのにも関わらず語り手の少女は無事だったのか。読み込み不足なのかもしれないが、この辺りをもっとすっきりと説明してくれたなら、ずいぶんと評価が違っていたと思う。惜しい。
 少女の幼い口調を意識したのか、読みにくさを感じる長文があった。

お気に入り度:★★☆☆☆(2/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ねこK・T様作「舌先で溶けてなお甘く」拝読

タイトル:舌先で溶けてなお甘く
作品リンク:http://transparent.raindrop.jp/100title/cookie.html
作者:ねこK・T
サイト:TRANSPARENT HEART
サイトリンク:http://transparent.raindrop.jp/index.html

 ねこK・T様は、透明感のある文体が印象的な作者様。心の黒い者が読んでいいものかどうかと、いつも迷いながら拝読する。
 本作のストーリーは、失礼を承知でいえば、ありがち。とはいえ、主人公一人だけで物語が完結しているのは、案外新鮮であった。描写は柔らかさを感じる。丁寧に語られているため、主人公への感情移入も自然とできた。ただし、深いところまで共感できたかはわからない。微妙な距離感を感じるのは、あるいは読者の側(わたし)の問題かも知れない。
 小説として不満のある作品ではないが、無数に存在する類似の作品の中に埋もれてしまわない保証はない。作者の手慣れた感じに、もっと挑戦的な作品を期待したくなる。

お気に入り度:★★★☆☆(3/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

久元様作「魂さすらいの花」感想

タイトル:魂さすらいの花
作品リンク:http://seventhreads.zashiki.com/ToST/tamasasurai/tamasasurai1.html
作者:久元
サイト:七糸譚
サイトリンク:http://seventhreads.zashiki.com/index.html

 原稿用紙100枚程度の作品。
 これは面白い。そう素直に思えるファンタジーを久しぶりに読んだ気がする。
 特に気に入ったのは、土の匂いがするような、どこか懐かしい世界観。一癖ある登場人物も作品の世界にうまく馴染んでいる。ただ、登場人物の演出に関しては、少々詰め込みすぎてはなかろうか。どことなく浮いた印象のセリフや立ち回りがあるようにも思えた。
 ストーリーに驚きや奇抜さはないが、奇麗にまとまっていて不満はない。王道の物語をしっかりと描いてくれた感じで、安心感すらある。シリアスな展開の中に、軽さとユーモアが混じるのも好み。作品世界とそこで繰り広げられた物語を存分に堪能できた。
 後でじっくり読み直したい作品。

お気に入り度:★★★★☆(4/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

uko様作「柿狩りへ」感想

タイトル:柿狩りへ
作品リンク:http://www.geocities.jp/uko_cotton/novels/title/t9.html
作者:uko
サイト:cotton
サイトリンク:http://www.geocities.jp/uko_cotton/index.html

 コメディな短編。
 オチは意外なところからやってきた。少々意外すぎて、おや?という気持ちだけが残る。見方によっては、なかなか皮肉で洒落たオチなのかもしれないが、やはり全体の流れにしっくりこない感じ。その辺りも含めて、すべては作者様の手のひらで踊らされているというのであれば、それはそれで楽しい経験なのだが。
 全編にちりばめられている細かなネタは風化しやすく、時間がたてば分からなくなるだろうものばかりだ。軽く、即興的な楽しさを形にするのも悪くないが、より普遍的な笑いを追求した方が作品に深みが出たと思う。

お気に入り度:★★☆☆☆(2/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

斗織様作「モノクロ」感想

タイトル:モノクロ
作品リンク:http://www.geocities.jp/conceal_6/novel/s_10.html
作者:斗織
サイト:ジフェニル
サイトリンク:http://www.geocities.jp/conceal_6/diphenyl.html

「南さんの逆襲(助けるんじゃなかった)」を読んで、他の作品も読んでみたいと感じていた、斗織様の作品。
 非常に短い短編。
 オチの発想がこの作品のすべてであり、それだけしかないともいえる。全体が十分に練られている感じがしない。精神の病んだキャラクターとして、語り手はありきたりの造形でしかなく、そこに特筆すべき魅力はない。オチへの過程も起伏がなく、淡泊。作品の基調にあるのはユーモアであり、そのセンスには好感がもてる。自分にないものだけに羨ましい部分である。どんどんと磨いて、楽しい作品を作って欲しい。
 本作では、発想を作品にまで昇華できていない感じがして惜しい。
 
お気に入り度:★★☆☆☆(2/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

蒼波菜月様作「愛を操るお人形」感想

タイトル:愛を操るお人形
作者:蒼波菜月
サイト:Creato Croce
サイトリンク:http://space.geocities.jp/creatocroce/

 テーマのとらえ方が直截的すぎて、なぜだが逆に醒めてしまう。感情移入ができない。
 体裁は、短いながら良くできているとは感じる。しかしながら、作者様自らあとがきの中で「安っぽい話」といわれていることを、わたしとしても首肯するしかない。そもそも小説のテーマなど、もはやどれも使い古されているのだから、ありきたりの話を面白く見せることにこそ工夫が必要。アンドロイドの存在が、ひとつのスパイスとなっているが、その用いられ方自体がありきたりな印象であり、工夫が足りないと思える。とはいえ、言うは易し。その工夫が難しいところなのだが。

お気に入り度:★★☆☆☆(2/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

K.S様作「神様派遣します」感想

タイトル:神様派遣します
作品リンク:http://www.geocities.jp/ksdenmoutown/novel5_009.htm
作者:K.S
サイト:電網町一丁目商店街
サイトリンク:http://www.geocities.jp/ksdenmoutown/homepage_001.htm

 K.S様の小説の語り口は独特で小説作品としては少々野暮ったい感がある。その一方で、どこかで馴染みのある語り口だと思っていたのだが、なるほど落語のそれに似ていると、この作品を読んで気がついた。
「死神」は有名な落語だが、そのサゲのバリエーションは豊富だ。シビアな結末もある中、一体この作品はどのパターンでサゲるのかと興味が維持できた。途中で医者の選択を断るのも、面白いクスグリである。
 元ネタをあまりにも忠実になぞりすぎている感じがあり、もうひと工夫欲しい気もする。また、やはり野暮ったい語り口と、少々読みにくさのある文章には改善の余地があるだろう。   

お気に入り度:★★☆☆☆(2/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

藍咲万寿様作「ココア」感想

タイトル:ココア
作品リンク:http://everyfortune.web.fc2.com/text/ss/cocoa.html
作者:藍咲万寿
サイト:藍咲旅館
サイトリンク:http://everyfortune.web.fc2.com/

 心温まる短編。
 短い文章の持つリズム感は好みなのだが、段落間の行空けがあまり好きではない。ネット上の小説にはつきものの表現方法だけに、こちら(読み手)が慣れるのがいいのだろう。
 原稿用紙6枚程度の作品とのこと。この分量で作品を構築するのは難しいと思うのだが、本作品もそうした困難を乗り切れていない感じがある。印象としては、物語のプロットだけを見せられている感じだ。嫌味のない王道のストーリーだが、それだけに見せ方が問われるところ。書き慣れている感のある作者様であるから、無論その辺りは承知の上での作品とは思われる。物語は十分に伝わる。

お気に入り度:★★☆☆☆(2/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

進捗状況

 今、書いている小説たち。
  1.「ゲーマーズ」異世界ファンタジー(長編)
     完成度30%
  2.「永遠の夏」現代ファンタジー(中編)
     完成度50%
  3.「夢の向こう(仮)」現代(短編)
     完成度5%
 色々書いてはいるんです。ただ、一向に完成しないだけ。

 ちょっと保留の作品たち。
  1.「ワンダラーズ」SF(中編~長編)
  2.「昼は夜の残り(仮)」現代(中編)
 書いている途中で、疲れてしまって止めているものです。   

 こんな風に、あちこちに手を出しているのが完成しない原因なのでしょう。
 反省します。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

中原まなみ様作「指先の宇宙」感想

タイトル:指先の宇宙
作品リンク:http://manami.itigo.jp/novel/tanpen/yubisaki.htm
作者:中原まなみ
サイト:ふぁんたじ~ぽけっと
サイトリンク:http://manami.itigo.jp/

 中原まなみ様は、上手に作品を書かれる。そつがない、といっては失礼だろうか。ずいぶんと以前から作品を拝読しているが、日々スキルアップをされているようで、羨ましさを覚える。
 本作も、実に上手である。登場人物の造形は中原様の作品で度々見かける定番だが、別にそれが不満というわけではなく、むしろ安心感を覚える。また本作では、物語の本筋と、それに花を添えている、作者様曰く「でっちあげ理論」とが、ほんわかと調和していて、独自の面白さをかもし出している。
 恋愛話として、見事にまとまってはいるのだが、深く心に残る作品ではない。どちらかといえばさらりとした習作の印象。わたしが本作の魅力と感じた、「でっちあげ理論」な宇宙観に、作品世界の要素としてより完成されたものを感じられたなら、作品の印象は大きく変わっていただろう。人の心、存在、その繋がりにあらたな視点を加え、既存の概念から抜け出るような世界観を示して欲しかった。ただそうなると、あるいはSFのジャンルに入り込んでいくのかも知れず、作者様の望むところとは違うようにも思える。
 本作は、2時間程度の短い時間で書かれたとのこと。その時間で、これだけのものを書けるのは、やはり羨ましい。

お気に入り度:★★★☆☆(3/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

斗織様作「南さんの逆襲(助けるんじゃなかった)」感想

タイトル:南さんの逆襲(助けるんじゃなかった)
作品リンク:http://www.geocities.jp/conceal_6/novel/s_11_1.html
作者:斗織
サイト:ジフェニル
サイトリンク:http://www.geocities.jp/conceal_6/diphenyl.html

 コメディタッチの短編。
 文字の配色や配置が楽しくて見やすい。こうした表現もありかな、と思わせてくれる。
 読みやすく乱れのない文体と、コメディ作品特有のリズム感の良さから、不満なく最後まで読める。ただ、読後感は微妙。オチもそれなりに楽しいのだが、主人公の南ちゃんの化粧の意味が理解できない。同級生をブタとして扱う正当性も理解できない。暴力の突飛さも理解できない。ただし、作者が楽しんで書いているのが伝わるため、それらに決定的な不快感はなく、むしろ楽しみを共有できた感じがするのが救い。細かいこと気にせず、勢いで楽しむ作品なのだろうか。良くも悪くもネットでの小説である。
 作者の他の作品も読んでみたいと思えた。
 
お気に入り度:★★★☆☆(3/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

梅原様「ボレロ」感想

タイトル:ボレロ
作品リンク:http://www5.pf-x.net/~gd-street/novels/07.html
作者:梅原タロ
サイト:GREEN DOLPHIN STREET
サイトリンク:http://www5.pf-x.net/~gd-street/index.html

 ボレロは好きな曲だ。この作品も、多重に少しずつ変容していく世界が楽しい。
 読みながら、最後の一文でクスリとしてしまったのはなぜだろうか。その辺りを子細に考えてみても有意義な時間を過ごせそうだが、それは後の楽しみとしたい。
 この作品、素直に面白い作品だと思うのだが、一方で、純粋な小説作品として評価するのは困難だとも思う。詩と小説の差異を説明することがわたしの手に余ることを認めた上で、あえていわせていただけば、この作品は詩なのだと思う。因果や歴史を刻むのではなく、瞬間を切り取っているからだ。映像ではなく、写真の面白さ。通常であれば見逃してしまう瞬間、思考に、鋭くメスを入れている。その鮮やかな断面が、梅原様の作品であり、魅力なのだろうか。
 そんなことはともかく。わたしが、この作品をとても気に入ったことを伝えたい。きっと明日にも、もう一度読み返したくなるだろう。
 次はボレロを聞きながら拝読させていただこうと思う。

お気に入り度:★★★★★(5/5)

このカテゴリーの説明

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年9月 | トップページ | 2008年2月 »