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ゲーマーズ第2話 初稿

 ゲーマーズ第2話の初稿の抜粋です。
 興味ある方は、比べてみてください。
 てか、かなり変わってますね。事件の流れは一緒ですが、異世界の設定は別物です。

 なお、この初稿は、2007年9月の執筆でした。
 当初は一話30枚程度で展開しようとしていたので、今よりもスピーディーです。

 テキ……シュウ?
 その意味は、とっさに理解できるものではなかった。
 地震かと思った地響きは、ますます唸りを増し、叫び声と、息づかいと、金属のこすれあう音がそこに混じった。右手の方に、いくつもの明かりが揺らめいているのがみえる。それが、近づいていた。
 ビュオッ。
 空気を裂く音がした。と、足下に矢がピンと突き刺さり、獲物を逃した無念さにブルブルと身を震わせていた。同時にいくつかの悲鳴が夜気をつんざいた。
 それが戦闘の始まりであった。
 重たい鉄の塊のぶつかり合う音がして、意味を成さない叫び声が嵐のように渦巻いた。
「怯むな! 勇者をおまもりするのだ!」
 ヨムラの声が闇に響く。
 進はアタとシーザに促されるままに走り、ストーンサークルのある低い丘を降りた。石を踏み、自分が靴を履いていないことに気がついた。
「止まってはいけません!」
 未だ進の腕を持っていた方の戦士――アタが叫んだ。
「足がっ」
 進は情けない声をあげた。足の裏がジクジクと痛んだ。血が出ているに違いなかった。
 雄叫びと悲鳴と馬のいななきが混じりあっていた。気がつけば、遠くにあった光は、ついぞ先ほどまで自分たちのいた辺りにまで侵入していた。そしてそれは、しばらくまごまごとストーンサークルの周囲をうろついた後で、確実にこちらへと迫っていた。
「こっちだ! いたぞ!」
 不吉な声が響いた。 
「くそっ! 見つかったか!」
 シーザが唸り、立ち止まった。
「ここはオレが引き受けた。先に行け!」
 そういってスラリと腰の剣を抜く。その身長に合わせて短いそれは、どこかオモチャの剣のようであった。チラリと振り返った進の目に、雄叫びをあげて剣を構える姿が見えた。
 いつしか空気には、血の臭いがただよっていた。

(中略)

 森を出れば正面に、太陽の光を背景に黒く石柱が浮かび上がっていた。何ごともなく、昨夜の場所に戻ることができたようである。ひとまず胸をなで下ろす進。だが、そこに待っていたのは、痛ましい現実であった。
 引き倒されたテントや荷車からは燻る煙が上がっていた。焦げた臭いが鼻を刺す。そして、血とすえた肉の匂い。
 進らが近づくと、バッと死肉をあさっていた鳥たちが空に舞った。近くの梢に止まり、物欲しそうに下を見つめている。
 そこには、パックリと腹を割かれた死体が、虚ろに空を見つめていた。それだけではない。あたりには、いくつもの死体が無造作に投げ出されている。武器を持っている死体ばかりではない。怯えたように丸まったままの子どもの死体もあった。その子を抱く母親もまた冷たい死体となっている。
 それら死体は、ほとんどが《狗頭人(ノムルティ)》のものであったが、武装した《蜥蜴人(レプラティ)》の死体もいくつかあった。昨夜はその姿を確認することもできなかったが、黒光りする鱗で全身を覆われ、顔はカマキリを思わせるものだった。
 進はその場にうずくまり吐いた。昨夜から何も食べていないおかげで、吐瀉物は少ない。
 アタは野営の跡地を走り回り、生存者がいないか確認をしていた。
「いきましょう」
 やがて進の元にやってきたアタは短くいった。
「行くって……どこへ?」
「皆がやられたわけではありません。遺体はざっと二十ほど。後は捕まったか、あるいは逃げ落ちたのでしょう。無事な者がいれば、こんなときのための集合場所が決めてあります。さあ、行きましょう」
 アタが進の手をとって引き上げた。
「やだよ。行きたくないよ!」
 進はその手を振り払って叫んだ。
「帰してくれ。オレのもとの世界に。こんなところ、もうたくさんだ。好きなだけ勝手に殺し合えばいいじゃないか。オレには関係ないんだ。こんなとこに、いたくないよ!」
「わたしには、あなたを元の世界に戻す力はありません。その術を知るのは長のみです。ここには長の遺体はありませんでした。長に会いにいかなければなりません。どうか、いましばらくのご辛抱を」
 アタは頭を下げた。
 アタは歩き始め、進は無言でその後に続いた。進たちが距離を取るとすぐに、鳥たちが饗宴の舞台へと舞い降りる。
「みんなを、あのままにしておいていいの?」
 進はいった。
「弔いの暇はありません。神託を受けた日より、我ら一同、屍をさらす覚悟はできています」
 アタの声に苦渋の色が混じっていた。
「再び森を行きましょう。街道は危険です。急げば日が沈む前にたどり着くことができるでしょう」

 

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